2012年3月10日土曜日

大屋から登る笠形山


まず誤解のないように書いておきますが、このルートは笠形山のいわゆる大屋登山ルートではありません。これについては[1]などをご覧下さい。

多可町八千代区大屋の鹿子神社の東側に「大屋案内図」があります。これには笠形山の登山ルートも書いてありますが、鹿子神社の裏山に鹿子散策道が描かれています。これを起点としました。腐りかけた木板の階段が神社の裏にあって、これを登ると東屋があります。大屋が一望できます。この先に松茸山なので秋は禁入山という看板がありましたが、しばらく良い道が続きます。だんだん道が怪しくなり、大屋四等三角点(390.31m)のピークは西側を巻いているので頂上に上がって三角点を確認しました。次の400m+ピークの手前から尾根にはネットが張られ、雑然とした尾根になって歩きにくくなりました。406mピークも倒木があって荒れていますが、ここを過ぎると下草の無い植林の尾根道となりました。尾根が西に曲がり、標高410m付近を登っていると、共同アンテナ(?)がありました。この先はずっと植林で、倒木が少しある程度です。だんだんと岩が増えてきて、勾配も急になります。そして、広域基幹林道笠形線に出ました。

出てきたところは切通です。林道を挟む両側の崖の上に、「大屋共有財産区所有地」という札が向かい合って立っており、狛犬のようでした(写真)。登ってきた尾根から林道に降りるのは簡単でしたが、林道の山側の崖は高いので、登るのは簡単ではありません。幸い切通の北側の急斜面に小道があり、これを登って崖の上に出られました。少し尾根を登るとネットがあり、下から道が上がってきていました。おそらく林道に登り口があるはずです。この先は急な登りで、岩塊流のような岩だらけの谷があり、それを避けて岩だらけの尾根に上がって登り続けました。そして、稜線に出てきました。「多可の天空を歩く 仙人ハイク縦走コース」の、ここは大屋峠南だそうです。笠形山までの1214mの尾根歩きは一度降りてから登り返すので結構きついのですが、「龍の背」とか鎖場とか「天邪鬼の挽岩」とか、楽しめるます。小雪がちらつく笠形山に着いたのは、登りはじめて3時間半後でした。笠形山には何回か登っていますが、無人の山頂は初めてでした。笠形山一等三角点(939.36m)は流石に立派です。

下山は南の尾根で大屋に戻ることにしていたので、山頂から南に歩きました。地形図では山頂の南の920m+ピークで破線道と境界線が別れており、東側の破線道を歩こうと思っていたのですが、分岐が見つからず、西側の道の良さと比べて東側の破線道に相当する道は見つかりません。しかたなく尾根を辿りましたが、笹が多く歩きにくい尾根です。しかも破線道と境界線が東に曲がる付近は広い尾根で、自分の位置が分かりません。とにかく降りていけば林道笠形線に出るだろうと思って植林の斜面を降りたのですが、これは大間違いでした。これは東向きではなく南向きの斜面でした。白いミツマタの花が咲いていましたが、植林の下は谷で、そこで初めてこれが岡部川の源流であることに気が付きました。慌てて稜線に戻ろうとしましたが、非常に急な斜面で、結局近くの尾根に上がって、そこから稜線まで一直線で登らねばなりませんでした。非常に疲れる登りでした。

稜線(多可町と市川町の境界)に出た後は北に戻って地形図の破線道を探しました。破線道が浅い谷を一直線に東に降りているはずなのですが、これも見つかりません。しかたなしに少し南の尾根を降りました。ここは植林なので降りやすく、652m地点も多少の眺望がありました。しかし気になるのは眺望ではなく、笠形線がすぐ下を走っていることでした。これでは降りられません。案の定、尾根の先は崖でした。少し傾斜の少ない崖を見つけて降りようとしましたが、滑落しそうになって断念しました。しかし林道に降りないわけにはいかないので、藪の斜面を南にトラバースして降りられる地点を探しました。南には尾根があり、その先は勾配が緩そうでしたが、ここも降りるのは難しそうでした。が、なんと尾根の北に金属製の階段がありました。なんという僥倖でしょう。これが無ければ、降りられたかどうか疑問です。危険きわまりない林道です。

下山に予定していた尾根は、降りてきた尾根の延長です。ここの切通には「大屋共有財産区(通称トン谷)」という札が、やはり向い合って立っています。予定どうりこの尾根を降りました。岩が多いのですが、歩きやすい尾根でした。しかし543mピークを過ぎたところで問題が発生しました。崖の上に出てしまったのです。尾根上に大きな岩があり、両側は急勾配で巻き道はありません。眼下には尾根の続きが見えていますが、飛び降りられるほどに垂直に切れているわけでもありません。結局岩にへばりついて降りたのですが、滑落の危険が大でした。冷や汗をかいた後も尾根歩きを続けました。ネットがあったり、北側下方に広い林道が見えたりするうちに、周囲に新しく木が植えられていることに気が付きました。大きな木を添え木に付けて植えてあり、杉ではなく桜のような木でした。まだ作業の途中のようでもあり、道も良くなりました。おかげで迷わずに東に尾根を辿ることができましたが、すぐにこの道は降りて行ってしまいました。あとは植林と雑木林の中を、尾根を端まで歩きました。最後は、人家の北付近まで来るとネットが張ってありました。ネットの北側を歩いて降りると、人家の裏に降りられました。ネットの中に入って降りると、作業道があったかも知れません。

道に迷ったあげく二回も滑落しそうになったので、あまり賢い山歩きとは言えません。登りは2時間半、下りは3時間半というのがそれを証明しています。実は最初は笠形線で折り返す予定だったのですが、笠形山が近そうだったので登ったのでした。下山で苦労したのは、笠形山を甘く見ていたとしか言いようがありません。山登りには準備と心構えが必要です。

展望 ★★☆
藪山度 ★★★
地形図は「粟賀町」です。

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