2012年4月7日土曜日

仏谷の西の尾根



仏谷というのは、加東市の三草山から、三草川を挟んで北西にある谷です。地形図には西から廻谷、数曽寺谷、仏谷と南北に走る三本の谷に名前が書かれています。これらの谷を作っている南北に走る尾根はどれも岩場だらけで、眺望が良いことは間違いありません。今日は仏谷の西側の尾根を登ってみました。

登り口は仏谷からと決めていました。三草川は国道372号線(通称「篠山街道」「デカンショ街道」)沿いに三草山の北の谷を走っていますが、源氏と平家の古戦場である山口の北に、三草川が農地を避けて大きく迂回し、北の山に添って流れている所があります。仏谷はこの農地の南端から入るのですが、行ってみると川が渡れません。しっかりとした護岸のある川で、無理すれば渡れなくはないのですが、水量があるために靴がびしょ濡れになることは間違いありません。倒木が一本渡してあり、その上を歩けば渡れますが、下は川で高さもかなりあって、そんな度胸はありません。しかたないので大回りですが街道沿いの山を経由して仏谷に出ることにしました。山口の北にある街道沿いの山は見上げると岩が多く、眺めもよさそうでした。そこで街道を山口まで戻って、登り口を探しました。この山は街道に沿って細長いのですが、川を渡るには山口まで戻らねばなりません。山口の北東にある溜池(シル谷池)まで道があり、その付近から登り始めました。典型的な藪山で、低木とシダが茂っています。シダを避けながら登りましたが、明確な道は無いか、あっても背の高いシダで埋まっています。尾根まで登っても状況は変わりません。南のピークは展望もほとんどありません。一度鞍部に降りて北のピークに登るようになると岩が増えてきてシダが減り、展望も良くなります。街道を見下ろせる岩場もいくつかあります。街道に沿って置かれているコンクリート製の戦う武士のレリーフがよく見えました。もちろん三草山も見えますが、標高が低いので滝野の町はわずかしか見えません。北のピークの先は急斜面で川に落ち込んでいることが分かっていたので、北の林を抜けて、谷を通って仏谷に出ました。ほぼ1時間かかって、渡れなかった対岸に出ました。

仏谷には地形図どうり道がありますが、次の目標は山口上三角点です。仏谷にちょっと入ってから尾根に取り付きました。ところがこの付近は不思議な地形をしており、なかなか急斜面になりません。しばらく平なところを歩いて、やっとシダの茂った尾根に着いたのですが、ひょっとするとこの辺でかつて鉄を採っていたのかも知れません。シダの尾根はなかなか手強いのですが、所々岩場もあって展望もあります。登るにつれて景色が良くなっていきます。山頂もシダが多いのですが、山口上四等三角点(232.92m)の付近は少し刈ってあります。

ここからは北に尾根を縦走です([1])。登ってきた尾根に比べればずっとシダも少なく、明確な道があって歩きやすい尾根です。隣の尾根がどちらも崖が多く迫力がありますし、高度が上がるにつれて遠くも見えるようになります。歩いている尾根も岩場が多く、岩を乗り越えて歩く場所もいくつかありました。324mピークへは西側の尾根から関電の巡視路が上がってきており、この先は尾根道がますます歩きやすくなりました。急な岩場には鎖まで用意されています。そして紅白に塗られた播磨線167鉄塔に出てきました。三草山の東には新築の無量寿寺が山の間に見えています。この先も岩盤の多い尾根が続きますが(写真)、ここも巡視路として整備されています。比延方面が見えるようになり、シダの茂った急な斜面を登ると、大坂山山頂に着きました。三草山2三等三角点(449.95m)があり、四方に展望があります。ここは「数曽寺山」だという説もありますし([1])、「津万郷山」という名前もあります([3])。

ここからは東に尾根を縦走しました。シダが茂っているところはあるものの、快適な尾根道です。マーキングも多く、迷うところもありません。仏谷の突き当りの鞍部には道が上がってきており、ここから東には灰色テープのマーキングがあるので、仏谷からは道があるのかも知れません。480m+のピークから少し下って登り返すと、459mピークです。この付近では最高峰で、数曽寺山という札があるのですが、異議と唱える書き込みもあり、「ウツロウ山」という説([2])や「せ山」という説([1])もあって、名前は分かりません。北側の展望があります。地形図ではここには馬瀬から谷あいの道が来ており、それが東の谷を通って降りていっています。山頂に来た道は「大坂山」、その先の道には「馬瀬」と黄色テープに書いてありますが、この「馬瀬」が破線道なのか、だいぶ迷いました。結局その「馬瀬」に向かうと、これは稜線沿いの道でした。つまり破線道は見つかりません。しかし最初から鉄塔の尾根で下山するつもりだったので、これは好都合でした。じっさい490m+ピークを道なりに歩くと、鉄塔の尾根に降りて行きました。ということは、この先の東の尾根に行く道は無いということになります([3][4])。

この尾根もシダは茂っていますが、しっかりとした道があり、展望も良好です。340m+ピーク手前の鞍部には、西側から道が来ていました。それをやり過ごしてピークを越すと、播磨線170鉄塔がありました。ここも展望良好です。これを過ぎると関電の巡視路になり、ハイキングになります。道端にある馬瀬四等三角点(299.02m)を過ぎると下りになり、おびただしい数の黒いプラ階段が使われています。巡視路に従って、234mピーク手前の鞍部で西の谷を降りました。降りるときは迷いようもないのですが、登りの時には沢伝いの道の終わりからプラ階段が見えないため、ちょっと分かりにくいかも知れません。赤いテープの所をまっすぐ登ればよいのですが。最後は溜池の下に出てきました。

やはりこの付近の尾根は楽しめます。広い播磨平野が一望にできますし、岩場は勾配が緩くて危険な箇所もありません。しかし仏谷に入れないのだけは、何とかして欲しいと思います。

展望 ★★★
藪山度 ★★☆ 最初の山は除く。
地形図は「比延」です。


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